モノづくりの面白い点として、アイデアさえあれば、いえ、アイデアが無く何かの物まねであっても、日常生活に役立つ実用的なモノから人を和ませるおもちゃのようなモノまで色々と「つくる」ことで何かの役に立つものが出来上がることです。
そんな役に立つモノづくりに対局する「無駄なもの」を作り上げては会社まで立ち上げて仕事にしてしまっている無駄にユニークな女性が出版している書籍をモノづくりの視点から少し紹介させてもらいます。
書籍 無駄なマシーンを発明しよう! ~独創性を育むはじめてのエンジニアリング~
初めに私の結論を申し上げておきますが、この書籍は決しして無駄なごみをつくる方法を綴っているキワモノ本ではありません。
私がこの本から読み取ったところの一番の神髄は、「問題解決のために自分のアイデアを具現化する能力を鍛えよう」だと理解しました。
そして、その方法論が子供向けの言葉でわかりやすく記載されています。
モノづくりのアイデア出しでしばしば言われていることではありますが、何事も手順があればとっつきやすいため、この本では次のように分類して紹介されています。
〇くっつけてマシーンをつくろう
製品づくりでは、何かの機能をもつものと別の何かの機能をもつものを合体させる手法ですね。例えば、防災用道具として、持ち物を減らすために、ライトとラジオを一つに合体したものや、身近にあるものでは、スプーンとフォークを合体させた子供用の先割れスプーン、消しゴムつきの鉛筆などがあります。この複数の機能を結合させる方式はとても有効なもので、スマートホンは多くの機能が合体した最たるものでしょうね。
〇改造してマシーンをつくろう
改造は、機能アップ(付加価値の向上)、あるいは機能ダウン(贅肉をそぎ落としてコストダウン)の手法ですね。例えば、ラジコン車であれば、走るスピードが遅いラジコン車のモータを高速回転のモータに改造して高速走行ラジコンに変身させたり、金属製の部品を樹脂製に変更し、軽量化してさらにスピードアップも図れるようにするなど。他には、あまり活用されないLEDインジケーターを装置から省略してしまうなども良くあるコストダウン策ですね。
〇アイデアを形にするための具体的な道具の紹介
後半では、具体的に電子工作などで使われるArduinoのエコシステムでセンサーやアクチュエーターをコントロールするプログラミングが紹介されています。具体的なマイコンの使い方を学習してみるということですね。
〇アイデアを具現化するために必要なこと
書籍には、直接的には述べられていませんが、私には、物をかたちにするには、以下に述べていることが必要だとも読み取れました。
・設計図を書こう
再現性のあるモノづくりには設計図が必要ということ。
・材料をそろえよう
実際に形にするためには、実際に入手できる材料調達が必要ということ。
・素材・材料のヒント
最適な素材と使用するには材料の特性を知る必要があるということ。
・“試行さく誤”しながらつくろう
設計通りにものを作るためには評価・検討(試行錯誤)が必要ということ。
・人に見せよう
独りよがりの設計になっていないか、色々な視点でレビューが必要ということ。(必ずしも独りよがりは悪ということではありません)
いかがでしょうか?
この本は「無駄なマシーンを発明しよう!」というキャッチーな題名とはかけ離れた本格的な設計指南書ではないでしょうか!?
つまり、この本は「無駄づくり」としては失敗作でしたね!
子供向けにわかり易く表現されていますので、皆さんも機会があれば立ち読みでもぜひ読んでみてください。(私はもちろん購入してますよ!)
そして、ここから得たもので、なにかの物まねからでもモノづくりを楽しんでみてはどうでしょうか。